設計の仕事
design works
記憶を継ぐ家
1-注文住宅

土地の記憶を継いでいくことを考える
埼玉県の広い敷地の一角に建つ木造2階建ての戸建て住宅です。
お父様が所有されている建物が複数ある一団の敷地内に建つため、建設前の敷地高低差や形状を建物プランに反映するとともに、母屋の屋根と軒を連ねることで敷地の記憶や名残りを感じ、住み継ぐことを形にできないかと考えました。
瓦屋根の母屋とスクエアな集合住宅の中央に建つため、ボリュームを2つに分けることでスカイラインを整え、敷地高低差の名残りとして住まいの中にいくつかのステップをあえて設けることで日々の生活の中にも土地の記憶を残しました。昔から水害が多い地域だったため道路レベルから1番高い地盤に床レベルを設定するためにも必要なステップでした。



燦燦と降り注ぐ光を取り込む吹抜
母屋の綺麗に整備された庭が南側にあり、平面方向・垂直方向への広がりを堪能することを考えて計画しました。1階リビングと2階サブリビングは吹抜を介して気積を共有し、南側から燦燦と降り注ぐ光と庭木の木漏れ日、空への広がりを感じながら暮らすことができます。




玄関正面には和室を配置し住人や客人を出迎えるために一連のデザインとしています。和室脇には焼き物の鉢を用意し帰宅後にサッと手を洗うことができるとともに和の設えとしています。


キッチンはオーダーで設計することで建具や壁の素材とぴったりと合わせることができます。天板は上品な白が特徴のクォーツストーンを選定しています。耐水性・耐熱性が高いのでキッチンに最適です。


記憶と家族を継なぐ間取り
住まいのほぼ中央に吹抜を配置することで家のどこにいても家族の気配がなんとなく感じられるようになります。母屋の庭・1階リビング・2階個室を連ねていくことでこの特異な環境を活かした間取りとすることを目指しました。吹抜の壁面には上下階に連なる木板を貼ることでその連なりをより強調しています。


光に表情を生むルーバー
天井ルーバーによって陰影を作ることで南側からの光に表情をつけました。影があることでより光を美しく感じられます。テラス上部にもルーバーを設けることで直上からの直射光を拡散させて柔らかい光にするとともに、居室感を生むためのアイテムにもなっています。



色合いや素材を整える
外観、水廻りや個室の全体を通して木・モルタル・タイルなどの素材を白からベージュの間の色合いで統一し、黒をアクセントにすることで空間を締めています。






ふとした瞬間に感じる光
各所に素材感を設けると光が思わぬ瞬間に綺麗に差し込んでくることを感じられます。隣り合う空間にほんのりとした光を伝えるために小窓をいくつか設けました。現地に訪れる度、光が綺麗な表情で出迎えてくれるお住まいです。


その他の作品
nagomがこれまで設計した新築住宅やリノベーションした住まいをご紹介します。
ジャパンディスタイルの家(東京/改修)
街に開く職住一体の家(東京/新築)


overview
埼玉県の広い敷地の一角に建つ木造2階建ての戸建て住宅です。
母屋の綺麗に整備された庭が南側にあり、平面方向・垂直方向への広がりを堪能することを考えて計画しました。1階リビングと2階サブリビングは吹抜を介して気積を共有し、南側から燦燦と降り注ぐ光と庭木の木漏れ日、空への広がりを感じながら暮らすことができます。建設前の敷地高低差や形状を建物プランに反映するとともに、隣地に建つ母屋の屋根と軒を連ねていくことで敷地の記憶や名残りを感じ、住み継ぐことを形にできないかと考えています。
information
施工:アートクラフト
用途:住宅
構造:木造 2階建て
所在地:埼玉県川口市
敷地面積:207.78㎡
建築面積:81.16㎡
延床面積:152.38㎡
詳しい仕様は【TECTURE】をご覧ください。
credit
撮影:山内紀人、茂木哲
現場監督:山中友和
構造設計:大室直也